【指導法再考】小学生にピアノを教える導入期で取り入れたいことは?

こんにちは。なんなん(@nannanchannel) です。

ひょんなことから近所の小学生の女の子にピアノを教えることになりました。

小学校2年生の音楽好きでかわいい子です。

小学校卒業くらいまでピアノを続けていてもらいたいのですが、ピアノの指導法を再考し新しい方法を取り入れたいと思っています。

そのお子さんの小学校卒業ころの目標は、ブルグミュラー25番かその次くらいの教則本をミスなく一定レベルの音楽性で譜読みのストレスなく弾けることです。

現在のパートにつく前はピアノ指導の仕事をしていて、わたしの子供もわたしが自宅でソナチネ、ギロッグくらいまで手ほどきしました。

その時の経験と反省を加え、今回のピアノ指導の導入でやりたいことを書いてみます。

独学でピアノを学びたい人、ピアノ指導に行き詰っている先生や習っている生徒さんで参考になる点が何かあったら、ぜひ取り入れてみてください。

3和音コードを先に教えてしまいます

片手〜両手の教則本から始めますが、いちばん初めから「3和音」を教えて耳とけんばんにたたき混んでしまおうと思います。

3和音とは長調の和音、短調の和音があって、とりあえず長調の和音「ど・み・そ」からです。

ヤマハのコマーシャルでも「どみそ〜」って歌ってますよね。

ピアノの教則本をすすめていくと、すぐに「転回形」がでてきてしまいます。

「どみそ」を「みそど」「そどみ」の順に高さを入れ替えしたのが転回形です。

転回形がでてきてマゴマゴする前に、長調の全調で3和音やります。

長調だけですが全調です。

ドから始まる「ドミソ」、ファのシャープから始まる「ふぁ♯ら♯ど♯」、といった具合に12種類です。

転回なしの元の形なら、1年あればスパッと出てくるんじゃないかと思います。

ラの3和音は何?ラ♭の3和音は何?って具合に問題を出して、ぱっぱっとピアノのけんばんで3和音を鳴らせるようにします。

3和音、片手でとるのはつらいと思うので、左手でバス1音、右手でその上に2音(真ん中の音と上の音)をのせていきます。

長調の3和音がストレスなく出るようになったら、短調の3和音もやります。

短調より先に、長調だけで「転回形」をやってしまうかもしれません。

「ミの3和音を弾いてね。そしたら低い音から1音ずつ上げて、けんばんがなくなるまで転回していってね」みたいな問題です。

みそ♯し、そ♯しみ、しみそ♯・・・(続く)・・・が答えです。

ピアノの鍵盤はそのまま洋楽の音階をあらわしています。

音階を先に勉強することが多いのですが、わたし自身もわたしの周りの人も、和音がぱぱっと出てこないし読めないことで演奏困難で困るのをよく見受けます。

将来モーツァルトのソナタを弾かずに、ポピュラー音楽を楽しむ可能性の方が高い場合には、音階より和音優先で教えたいと考えています。

音階ですが、長調の音階と短調の音階よりも、半音階を先に教えてしまおうと考えています。

運指のことがなければ、半音階はけんばんの見た目通り、迷うことなくわかりやすいです。

ドからにしますが、ドから半音ずつただ上がったり下がったりして、半音階をたたきこみます。

3和音たたき込みと一緒にやります。

半音階は両手の指を使って1音ずつ弾いていけば、指くぐしをしなくてすみます。

長調の音階、短調の音階の前に、3和音と半音階を先に体と耳に慣らして、「けんばんアレルギー」「がくふアレルギー」にならないようにします。

私の知っている限りですが、音階よりも和音だけとか半音階を先にやる方法はないのではと思っているので、お子さんとけんばんの勉強をするのが楽しみです。

ミスタッチをする前に指を止め置かせてノーミストレーニングをする

楽譜をよむ→よみとった音符のけんばんに指をのせる(音を出す)→つぎの音(音のまとまり)をよむ→正しいけんばんに指をのせる(ひいて音を出す)

最初からこの循環を「徹底」させようと考えています。

「だいたいこの音だと思う、音だしてみる、あ?ちがってる、弾き直してみてどう?またちがった…」と楽譜もろくに読まないまま、弾きすすめる例が大変多いです。

さぐり弾きをするクセをつけてしまうのは、絶対に避けたいです。

初歩のうちにこの習慣がつくと、曲だけ進めても上手く弾けるようになりません。

「指を止め置く」ですが、これはピアノのSNSで知り合ったとてもピアノの上手な人から教わりました。

わたしの知っている人でこの「止め置き」の循環ができている人、たぶんアマチュアやお子さん対象のピアノの先生の中ではこの人だけなのではと思います。

楽譜を読みながらピアノを弾いていく、次の音が何なのかよくわからない時には先にいかないで、前の音で指をキーに乗せたまま、止めておく。

すぐに音が読めることもあれば、難解な和音で音を読むのに時間がかかることもあります。

正しく音を読めた確信をもてたら、指の方も次の音に進んでよいと。

次に何の音を弾くのかよくわからないまま適当にずるずると指を置いていっては、ピアノの場合いけないのです。

指を止め置くことのできている人にこのことを教えてもらって、わたし自身予期しないミスがずいぶん改善されました。

よく読めないところ、手指がむずかしいところで手を止めて、ひとつひとつクリアにしていく必要があります。

上級者のピアノ練習会の会合を動画で見せてもらったことがあるのですが、ショパンのバラードの楽譜にみなさん小さな「ふせん」をたくさん貼っていました。

読みや手の動きでひっかかるところにふせんを貼り、ひとつずつ解決していく習慣を初歩の段階から当たり前にしてもらおうと考えています。

レッスンはチェックのみ、残り時間は次週の予習につぎ込む

小学生は30分レッスンの予定ですが、家で練習してきたものを初めの5分でチェックするだけにしようと考えています。

ここでマルをもらい、残りの25分は次週の曲の予習に当てます。

「予習」というより、ここで全部「指導」してしまおうと思っています。

曲の構成、強弱など記号、音符の読み方、題名や曲の雰囲気、繰り返し記号、速さ、こんなものでしょうか。

特に大事にしたいのは、指づかいの原則的ルールの指導は初歩から中級くらいまで(ソナタアルバムくらいまで)適切な指を自分で決めていけるよう自立を目指したいと考えています。

かなりむずかしい曲に入っても指使いの決定がちゃらんぽらんな状態をたまに見かけるのですが、上達を妨げています。

わたし自身も5年前くらいから指使い決めを全部やり直し、平均律のフーガの指がわからず1曲まるまる指使いを全振りしたくらいです。

ようやく最近そこまで書かなくても頭の労力を使わず適切な指がけんばんに行けるようになりました。

レッスン内で次週みてもらう曲を、完全に自力で、大人がついていなくても弾けるところまで完成してしまいます。

「やらないと忘れちゃうから家で練習してきてね」と家に返します。

家での練習は、すでに弾けるようになったのを定着させるためだけです。

先の「指を止め置く」のと「家では定着練習を徹底」を合わせると、この2つの方法でかなり先まで崩れないで指導できるのではと考えています。

「何を間違えてるんだかわかんないけど間違えちゃう」

「自分ひとりだと楽譜から音楽の音に起こしていけない」

「とにかくつっかえる、弾き直しばっかりする」

こんな状態になるのを極力さけようと思います。

レッスンと自宅練習を上手く回せて、中学校での合唱伴奏曲くらいまでそつなくこなせたらわたしも生徒さんも万々歳かな?!と思っています。

5分は家庭練習のチェック(テストみたいなもの)25分は次週の指導と書きましたが、実際は後半の25分で和音や音階、楽譜読み書き全般(好きな歌謡曲も含めて)を少しずつ取り入れる予定です。

定着のためぜひ取り入れたいのが「前の曲の復習」です。

しばらくは5〜10曲くらい一度に進めて、最初の1巻が終わったら通して全部弾くくらいのことをさせたいです。

ブルグミュラー25練習曲ころまで進めても、今まで習った曲をレパートリーとしてずっとやっていてもらおうと考えています。

具体的には毎回抜き打ちで「前ひいたアレ弾いて」と、習った曲はどれでも弾けるように自宅練習を続けてもらおうと思います。

せっかく習って弾けるようになったものは忘れないでいてもらいたいのと単純に上達や定着のためです。

【指導法再考】小学生にピアノを教える導入期で取り入れたいことは?のまとめ

できるだけピアノに挫折しないで長く続けるためには、楽譜アレルギーを起こさせないようにしたいと考えています。

小2の生徒さんがこの前家に来たとき、小学校卒業でこのくらいねとブルグミュラー25練習曲の楽譜を見せました。

中学はソナチネアルバム、高校はソナタアルバムを「このくらいね」とも参考のため見せました。

高校のソナタアルバムなんて、ベートーベンの2楽章をたまたま開いたものですから、32分音符で真っ黒な楽譜がでてきてしまいました。

実際の演奏はテンポがアダージョやアンダンテでゆっくりなので、どうということはないのですが、今は真っ黒にしか見えないこの楽譜の意味をいずれ読み取らないといけない意識は持っていてもらおうと考えています。

「大人になれば新聞が読めるようになるから、この楽譜(ソナタ)もそのくらいね」

「小学校の教科書も小6まで少しずつ文章と漢字が増えてくるよね。だからピアノの楽譜も少しずつだから大丈夫です」と話しました。

習い始めのモチベーションが高い時期は3ヶ月くらいだと思うので、その期間にレッスンと自宅練習の組み立て方、楽譜との付き合い方、ピアノのけんばんとの付き合い方の基礎固めをしたいと思います。

この最初の1〜3ヶ月そして1年〜3年の基礎がグラグラすると、上に立派な建物をたてるのがむずかしくなってきます。

教えるこちらも教わる生徒さんの方も、コツがわかればどうということはない内容なので、ダメなときは進度も戻すし、気楽な気持ちで「やるべきことはやる」と進めていこうと考えています。

例としてソナチネアルバム、ソナタアルバムを出しましたが、実際には初歩向け教則本→ブルグミュラー25の練習曲(小学校卒業まで)→ソナチネ、ギロッグなど少しずつ弾けるのが増えるので補強、24の全音階、短音階(小学校で少し導入しておく)→曲の難易度を微増させていく、基本は4時代並行に、で高校まで行けたらすごく弾けるようになりそうですね。

4時代並行とはバロック、古典、ロマン、近現代です。

近現代は楽譜や和音に強くなるし良い教材が多いので上手く取り入れたいです。

バロックはバッハが有名ですが音楽内容がむずかしいので慎重に取り上げ、カノンなどほかの作曲家で代用できる場合は無理に入れないかもしれません。